活用法
案内文は、事業の姿勢がそのまま表れる文書です。何を書くかだけでなく、書かないことで生じる誤解にも目を向けながら、加入者向けの説明を設計します。
ゲノ先生とミライさんの対話

先生役
ゲノ先生
遺伝や検査の仕組みを、根拠ベースでやさしく解説する案内役。

質問役
ミライさん
読者の疑問や不安を代弁しながら、理解を深めていく相談役。
ミライさん
ゲノ先生、加入者向けの案内文を作ることになったんですが、何から手をつければいいでしょう。
ゲノ先生
まず押さえたいのは、案内文には2つの役割があるということだね。1つは、受けるかどうかを判断してもらうための情報。もう1つは、受けたあとに誤解しないための情報。この2つは書く内容が違うんだ。
ミライさん
判断のためと、受けたあとのため。
ゲノ先生
判断のために必要なのは6つ。受検が任意であること。受けないことで不利益がないこと。誰が個人の結果を見られるのか。事業主に個人結果が渡るのかどうか。何のために実施するのか。そして問い合わせや削除の窓口。
ミライさん
前に教わった内容ですね。
ゲノ先生
よく覚えていたね。特に「受けないことで不利益がない」は、必ず独立した一文として書いてほしい。任意ですと書いてあっても、職場の空気で受けざるを得ないと感じる方は、実際にいるからね。
ミライさん
受けたあとのための情報は、どんなことでしょう。
ゲノ先生
ここがポイント!4つある。これは診断ではないこと。高リスクでも発症しない方がいること。低リスクでも発症する方がいること。そして、健診や検診はこれまでどおり受けていただくこと。この4つは、案内文にも、結果画面にも、冊子にも、同じ言葉で入れる。
ミライさん
同じ言葉で、というのは意図があるんですか。
ゲノ先生
媒体ごとに言い回しが変わると、微妙にニュアンスがずれてしまうんだ。特にこの4つは、定型文として固定してしまうのがいい。担当者が変わっても、表現がぶれない。
ミライさん
同意については、どこまで細かく書くべきでしょう。
ゲノ先生
長ければ良いというものではないよ。むしろ、長すぎて読まれない同意書は、同意を得たことにならないと考えたほうがいい。要点を先に、詳細は別紙やウェブに。この構成が現実的だね。
ミライさん
要点というのは、どのあたりでしょう。
ゲノ先生
何のデータが、誰に渡り、何に使われ、いつまで保存され、どうすれば消せるか。この5つだね。研究等への利用がある場合は、その中身を区別して書いてほしい。個人が特定できない統計情報として使うのであれば、それはサービス提供の前提として必須になっていることもある。法令上は統計情報の利用に本人の同意までは求められないけれど、「統計情報として研究に使います」と明示して同意をいただく設計にしておくほうが、加入者の納得は得やすい。一方、個人が識別される形での二次利用は、本体の同意とは切り分けて、受検者が別に選べる形にしておくのがいいと思う。
ミライさん
書き方で気をつけることはありますか。
ゲノ先生
数字の見せ方だね。「あなたは平均の2倍です」だけを大きく出すと、不安を必要以上に高めてしまう。可能なら、集団の中での相対的な位置と、年齢などを踏まえたもとの発症率を並べる。そして、これは診断ではないという一文と、次にとれる行動を必ず添える。
ミライさん
数字だけを目立たせない、ということですね。
ゲノ先生
そう。最後にもうひとつ。自社サービスの紹介と、教育的な説明は、文書として分けたほうがいい。案内文の中でサービスの良さを語り始めると、説明全体が営業に見えてしまう。分けたほうが、かえって信頼されるんだ。
ミライさん
分けることで信頼が上がる、というのは意外ですが納得できます。
ゲノ先生
案内文は、事業の姿勢がいちばん率直に出る文書だからね。都合の悪いことも書いてある案内文は、それだけで加入者に伝わるものがあるよ。
まとめ
- 1案内文には「受けるかどうかの判断のための情報」と「受けたあと誤解しないための情報」の両方を入れる
- 2「診断ではない」「高リスクでも発症しない人がいる」「低リスクでも発症する人がいる」「健診は継続」の4点は定型文として全媒体で統一する
- 3研究利用は統計情報としての利用か個人が識別される利用かを区別して示し、後者は本体の同意と切り分ける
理解度チェック
加入者向けの案内文に必ず独立した一文として入れるべきものは?
Aサービスの導入実績
B受検しないことによる不利益がないこと
「任意です」と書いてあっても、受けざるを得ないと感じる方はいます。受検しないことによる不利益がない旨を独立した一文として明示することが、任意性を実質的に担保します。
C検査の解析SNP数
よくある質問
遺伝子検査の同意書にはどこまで書くべきですか?
要点として、どのデータが、誰に渡り、何に使われ、いつまで保存され、どうすれば削除できるかの5点を先に示し、詳細は別紙やウェブで補うのが現実的です。研究等への利用がある場合は、個人が特定できない統計情報としての利用か、個人が識別される形での利用かを区別して示してください。前者はサービス提供の前提として必須とされることがあり、法令上も本人の同意までは求められませんが、明示して同意をいただく設計のほうが納得を得やすくなります。後者は本体の同意と切り分け、受検者が別に選べる形にすることが望まれます。
結果を伝えるときに気をつけることはありますか?
「平均の◯倍」という相対値だけを強調しないことです。集団内での相対的な位置と、年齢等を踏まえたもとの発症率を併せて示し、診断ではないことと、次にとれる行動を必ず添えてください。
参考情報
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