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4月某日に、Zene主催で健保事業ご担当者様による交流会が開催されました。
ご担当者サイドからの、効果のある施策やプロセスの情報交換を行いたいというご要望を受けて、Zeneにて企画したもので、企業健保、協会健保、共済組合の方々がそれぞれの現状をお話しくださり、大変なごやかな交流会となりました。
より多くのご担当者様のご参考になればと思い、当日の様子をご紹介させていただきます。

Member

健保事業担当者交流会 参加者

A

健保:企業健保

中規模/食品

B

協会けんぽ

東北エリア支部

C

健保:企業健保

小規模 / 精密機器

D

共済組合

九州エリア支部

E

健保:企業健保

小規模 / アパレル

Zene

井上(代表)
嘉山(営業担当)

健保事業担当者交流会

Zene

司会(嘉山)

本日はお時間をいただきありがとうございます。
まず自己紹介を兼ねて、所属健保の特徴や課題について教えてください。 

A

健保

特定保健指導の参加率

特定保健指導の参加率30%

メーカーの健保で、被保険者は2,400人と中程度です。 ウェルネス製品を扱っているため健康意識の高い社員が大半を占めるなか、健診データの異常値をそのまま放置するような社員もおり、特に一定の部署で検診データの要改善項目が多いことが課題です。事業所自体に産業保健スタッフがいないので、こうした健診結果に問題がある社員に介入したくても、直接は出来ません。ただ、健保自体はとても積極的に社員の健康課題の解決に動いており、事業者サイドも意見を聞き入れてくれるので、その点はありがたいです。また、以前は特定保健指導の参加率が5%台でしたが、健保内に管理栄養士が配属されてからは、社員特性を分析してアプローチ方法を見直し、20→28→30%と次第に改善してきました。

B

協会けんぽ

保健指導員

保健指導員16名

東北エリアの協会けんぽです。協会けんぽは国民の3分の1にあたる4千万人が組合員で、私の支部は小規模なほうですが、それでも被保険者と扶養あわせて30万人ほどいます。大半が中小企業で1万6千社もいるので、どのような広報、周知をしていくかが非常に重要です。そもそも協会けんぽをご存知ない企業もあります。健康経営推進の一環で、「健康経営宣言」としてエントリーを募っており、現在1,400社ほどが取り組んでいます。対象企業には、減塩、禁煙、ストレッチなどのポスターや広報誌の提供、アンケートの実施などを行っています。また、保健指導員が16名おり、血圧、血糖の高い人には医療機関受診案内をしています。

C

健保

保健指導率

保健指導率70%

被保険者と扶養者あわせて1,200人ほどのメーカー健保です。健保の異なるグループ会社からの出向者が多数いるため、社員全員が被保険者というわけではなく、さらに対面する上層部は出向者中心で被保険者に直接アプローチできないのが難点です。対象者に自分ごととして認識してもらえるよう、ちらしの作り方やアピール方法に苦心しています。保健指導率は60%⇒70%で推移しており、きちんと参加はしてくれるものの、リピーターが多く効果が出ているかは疑問です。

D

共済組合

特定保健指導員

特定保健指導員70%超

組合員がおよそ9,500人の共済組合です。対象者は長時間労働で常に忙しく、指導をしようとしても難色を示されたり、中断されたりすることが珍しくありません。それでも支部としては特定保健指導の実施率は非常に高く、70%を超えています。皆さんと同じくなかなかリピーターが減らないので、自発的に取り組んでもらえるように、某フィットネスを導入してしたり、基本的なことではありますが、広報活動のフィードバックをとって次に生かすようにしています。

E

健保

特定保健指導員

特定保健指導員約80%

健診受診率

健診受診率約100%

非常に小規模なメーカー健保です。健保の常任職員は2人で、さまざまな業務に対応する必要があり、とにかく手が回りません。特定保健指導においては、積極的支援はあきらめて利用勧奨せず、動機付けだけに注力し利用勧奨をしたところ、指導率80%を超えるようになりましたが、リピーターは減らないので、何か新しいことをすべきなのか、でも予算がないし…、、と行き詰まり中です。 コロナ禍で対面の面談があまり出来なかったので、ICTを利用した保健指導を検討しているところです。  元々は被扶養者の健診受診率は60%程度でしたが、受診干渉のハガキを送ったり、受診しない理由を聞いて個別原因を取り除くことで、約100%を達成しています。ただ、利用しているシステムでは二次検査の受診対象者が抽出できず、そこへの勧奨が手つかずなので、費用をかけずに何かできることはないか、他の健保がどんなことをしているのかが気になっています。

B

協会けんぽ

お金がないというのはまさに同じで、二次検査の対応は難しいところがあります。重症化予防としては、協会けんぽ全体でハガキ送付によるハイリスクアプローチ、支部独自で業務委託による電話勧奨。あとは、所属の保健師・管理栄養士16名による保健指導を行っています。

A

健保

保健師や管理栄養士のスキルアップのために、何かなさっていますか?
私自身も管理栄養士なのですが、特定保健指導の対象者が300人近くいるため、健保の管理栄養士だけでは対応しきれず、委託事業社を利用しつつ実施率をの改善を図ってきました。 ですが、参加者の中には「今、時間が空いたから面談して欲しい」などの要望を上げてくる方もいて、委託業者では対応しきれないことが課題でした。そのような中で事業所の管理栄養士を活用して委託したところ、期待通りに実施率は上がりました。ただ、結果にはなかなかつながってはおらず、指導する側のスキルアップやモチベーションの維持の重要性を痛感している状況です。

B

協会けんぽ

そうですね。支部単独では年4回ほど集合研修を実施しているほか、毎月ロールプレイングや事例検討などをしています。ほかにも、本部主導でブロックごとの会議を開催したり、健保が参加費用を負担し、日本公衆衛生学会などに参加してもらっています。

Zene

司会

C様は健保でのご経歴が豊富ですが、ご経験ふまえ、ほかの方へのアドバイスはありますか?

C

健保

担当者の顔が見えるということが重要

担当者の顔が見えるということが重要だと思います。たとえば、健診の際に事業所に出向いて健保組合のアピールをしたり、社内イントラを使ってちらしを案内したり。以前は単に文面でお知らせするだけでしたが、私自身を知ってもらうことで、保健事業への興味喚起につなげることが出来たと思います。 ほかには、会社の産業看護師の所属元が健保なので、常時、社員の健康課題を共有し、どこに焦点を当てるかなどを話し合っています。

Zene

司会

D様のところでは、自発性を重視して某フィットネスを導入されたとのことですが、詳しくお聞かせいただけますか。 

D

共済組合

某フィットネスジム

元々は、某フィットネスジムの運動系セミナーを導入したところ、150%の応募があり非常に受けがよかったのがきっかけです。以前より、言われたからやっている、といったような受け身の意見が多いことは把握していたので、「某フィットネスジム=やせる」とのイメージをうまく使い、自ら選択して取り組んでもらえたらと思い、導入を決めました。ちなみに積極的介入でひとり5万4千円ほどで、週1でオンラインでのトレーナー指導があります。

A

健保

当組合でも某フィットネスジムなどの運動セミナーを実施したことがあります。 いずれも満足度は高く、さらに某フィットネスジムは集客力がありました。イベント自体はとても盛り上がったのですが、その場限りになってしまいがちですので、その後の介入が大切だなと感じました。

B

協会けんぽ

被扶養者への受診勧奨で効果が出た取り組みはありますか。

E

健保

申込書回収率

申込書回収率約100%

弊社で一番響いたのは、申込書に「受診しない」と理由を記載する欄を設けたことですね。それだけで申込書の回収率が100%になりました。理由を記載する欄を設けたことで、阻害要因を取り除くことができ、受診につなげることができました。 対象人数が多いと難しいかもしれませんが、当健保では健診期間を4-7月のみとし、4月中に申込をさせることで、5月以降にハガキで受診勧奨をするという戦略をとっています。一度目は優しく案内し、それでも申し込まなかった半数程度に対し、「当健保に加入している以上、健康診断を必ず受診してください!」と厳しめの文書を一文追加して6月に再度はがきを送ります。この一文を被扶養者がどう受け取るかというところでしょうか。もしかすると健保から外されてしまうのではないかと懸念する者もいるかもしれませんが、今までそのような問合せはないので、どう受け取っているかはわからないです。受診しないからといって扶養から外すことは出来ませんからね。それでもダメなら電話をかけます。 翌年からは大半の人が受診するようになり、どうしても都合の悪い方からは連絡がくるので、いまは受診勧奨の必要がほとんどありません。 

健保事業担当者交流会

Zene

司会

すごい成果ですね。ではあっという間に終了予定時刻が近づいてきてしまったので、最後に本日の感想を一言ずつお願いします。

A

健保

自分を知ってもらうというのはとても重要

大変な状況のなかでも結果を出していろいろ取り組みをされているご担当者がいると知って、自分ももっと頑張れるなと思いました。また、私もC健保様と同じく社員の前に積極的に顔を出すようにしており、効果を実感しているので、自分を知ってもらうというのはとても重要だなと改めて思いました。 

B

協会けんぽ

同じ健保職員といっても、環境がかなり違うことにカルチャーショックを受けました。たとえば、保健指導や健診の実施率が「低い」のレベルが、30%や50%に満たない自分たちとはまったく違っていて、アプローチの難しい層を相手にしているのだなと改めて思いました。一方、職員数でいうと、小規模な自分の支部でさえ正職員20名に加え保健師や契約職員で総勢60名ほどいて、非常に恵まれていることに気付き、皆さんの頑張りに非常に刺激を受けました。 

C

健保

皆さんのお話をうかがい、自分は経歴が長いとはいえ、業務効率を優先するあまり、深掘りをすることがあまりなかったことに気付かされました。今後は、もう少し腰を据えて業務に取り組める環境を整えたいと思います。

D

共済組合

改めて自分の組織のことを振り返ってみると、これまでずっと前年度踏襲がベースにあり、なかなか変化がなかったのかなと感じています。皆さんそれぞれ、取り組みを工夫して実績につなげたり、対象者に寄り添う指導をされていると知り、自分も今日得た知識を生かしながら、同じようにやっていきたいなと思いました。 

E

健保

今後もぜひ相談にのっていただきたい

今日は皆さんからいろいろな意見や情報を得ることができ、とても参考になりました。具体的な事例も伺えたので、自分にもできることがあればやっていきたいなと思いました。頼れる専門職スタッフがいないので、今後もぜひ相談にのっていただきたいです。 

Zene

司会

ありがとうございました。最後にZene井上からもひとこと。 

Zene

井上

改めて課題の多い分野だと感じました。保険者が担うべき業務や責任は増える一方という状況にあるので、皆さんの抱える課題のうち共通化できるものについては共通化し、ともに課題解決していけるとよいなと思っています。そのなかで、Zeneに出来ることがあればぜひご協力したいです。サービスに限らず、コミュニケーションハブとしての役割でもいいですし、システム面が得意なのでそういった部分でもお役に立てると思います。ぜひお声がけください。今後もいろいろ勉強させていただけると有難いです。どうぞよろしくお願いします。