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認知症と遺伝子検査の最新事情

疾患リスク

超高齢社会の日本では、認知症への関心が高まっています。認知症と遺伝の関係はどこまでわかっているのか、遺伝子検査でリスクは評価できるのか。最新の知見とともに、予防のためにできることを解説します。

ゲノ先生ミライさんの対話

ゲノ先生のイラスト

先生役

ゲノ先生

遺伝や検査の仕組みを、根拠ベースでやさしく解説する案内役。

ミライさんのイラスト

質問役

ミライさん

読者の疑問や不安を代弁しながら、理解を深めていく相談役。

ミライさん
ゲノ先生、うちの組合の加入者さんから「認知症のリスクも遺伝子検査でわかるのか」って質問されたんです。
ゲノ先生
関心が高いテーマだよね。結論から言うと、アルツハイマー型認知症については遺伝子との関連がかなり研究されていて、リスク評価に使える知見が増えてきているんだ。
ミライさん
どんな遺伝子が関係しているんですか?
ゲノ先生
最も有名なのがAPOE(アポイー)遺伝子。特にAPOE4型という型を持っていると、アルツハイマー型認知症のリスクが高まることがわかっている。欧州系集団を中心とした研究では、APOE3を2つ持つ人と比べたオッズ比として、APOE4を1つ持つ場合で約3倍、2つ持つ場合で約12倍という値が報告されている。ただしこれは比較の相手と対象集団を決めたうえでの相対的な数字で、祖先集団や年齢によって値は変わるし、生涯にわたる発症確率そのものを表すものでもないんだ。
ミライさん
えっ、12倍!?……といっても、何と比べた数字かを見ないといけないんですね。
ゲノ先生
ただし、APOE4を2つ持っている人は全人口の2%程度。そしてAPOE4を持っていても認知症にならない人もたくさんいる。あくまでリスクの話で、確定ではないんだ。
ミライさん
PRSでも認知症リスクは評価できるんですか?
ゲノ先生
ここがポイント!APOEだけでなく、他のSNPもたくさん認知症に関わっていることがわかってきた。PRSでそれらを統合的に評価する研究が進んでいて、将来的にはもっと精度の高いリスク評価ができるようになると期待されているよ。
ミライさん
認知症って予防できるんですか?
ゲノ先生
2020年のLancet委員会(The Lancet誌に掲載された国際委員会報告)では、運動不足、高血圧、喫煙、社会的孤立など12の修正可能な要因について、集団全体でみたときの寄与の合計が約40%と推計されている。ここは読み方に注意がいってね、「一人ひとりが生活習慣を変えれば発症リスクが40%下がる」という意味ではないんだ。集団としてこれらの要因を完全になくせたら、と仮定したときの推計値だよ。
ミライさん
個人の効果ではなく、集団での推計なんですね。それでも、対策する意味は大きそうです。
ゲノ先生
そう思う。特に運動や高血圧の管理は、認知症以外にも良い影響が期待できる。「自分はリスクが高い」と知ることが、そうした習慣を始めるきっかけになる可能性はあるね。ただし、リスクを知らせること自体が行動を変えるかどうかは、比較群を置いて確かめるべきところだよ。

まとめ

  • 1APOE4遺伝子はアルツハイマー型認知症の主要なリスク因子
  • 212の修正可能な要因の集団寄与割合の合計が約40%と推計されている(個人のリスク低減率ではない)
  • 3APOEの「3倍・12倍」は比較対象と対象集団を定めた相対的な数値であり、発症確率ではない

よくある質問

遺伝子検査で認知症のリスクはわかりますか?
APOE遺伝子型の評価により、アルツハイマー型認知症のリスク傾向を知ることができます。さらにPRSを活用した多遺伝子的な評価も研究が進んでいます。ただし確定診断ではなく、あくまでリスクの傾向を示すものです。
認知症は遺伝しますか?
認知症の多くは単一遺伝子で決まるものではなく、複数の遺伝的要因と環境要因が組み合わさって発症します。Lancet委員会の報告では、12の修正可能な要因について集団全体でみた寄与の合計が約40%と推計されていますが、これは個人が生活習慣を変えれば発症リスクが40%下がるという意味ではありません。

参考情報

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