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「リスク2倍」ってどういう意味?オッズ比・相対リスク・絶対リスクの違い

基礎知識

遺伝子検査の結果や研究論文には「リスクが2倍」「オッズ比1.5」といった数字が並びます。しかし、この数字だけでは実際にどのくらいの確率で病気になるのかはわかりません。絶対リスク・相対リスク・オッズ比という3つのものさしの違いを知ることは、遺伝子検査の結果を正しく受け止め、加入者へ適切に説明するための出発点です。

ゲノ先生ミライさんの対話

ゲノ先生のイラスト

先生役

ゲノ先生

遺伝や検査の仕組みを、根拠ベースでやさしく解説する案内役。

ミライさんのイラスト

質問役

ミライさん

読者の疑問や不安を代弁しながら、理解を深めていく相談役。

ミライさん
ゲノ先生、遺伝子検査の説明資料に「このタイプの人は発症リスクが2倍」と書いてあったんですけど、これって2人に1人は病気になるということですか?
ゲノ先生
いや、それは違うんだ。実はここが一番誤解されやすいところでね。「2倍」というのは、あくまで「誰かと比べて2倍」という相対的な数字。もとの確率がわからないと、実際にどのくらいの可能性なのかはまったく判断できないんだよ。
ミライさん
「もとの確率」ですか?
ゲノ先生
そう。医学の世界では、リスクの表し方が大きく3つあるんだ。絶対リスク、相対リスク、オッズ比。まず絶対リスクから。これは「ある期間に、その病気が起こる確率そのもの」のこと。たとえば今後10年で発症する人が100人中2人なら、絶対リスクは2%だね。
ミライさん
それが一番わかりやすいです。
ゲノ先生
次が相対リスク。2つのグループの絶対リスクを割り算した比だよ。Aグループが2%、Bグループが4%なら、4÷2で相対リスクは2倍。ここで「2倍」という言葉が出てくるわけ。
ミライさん
あっ、じゃあ「リスク2倍」って、2%が4%になっただけ、ということもあるんですね。
ゲノ先生
そこが大事なポイント!同じ「2倍」でも、40%が80%になる2倍もあれば、0.1%が0.2%になる2倍もある。相対リスクだけを見ていると、実際の大きさを見誤ってしまうんだ。
ミライさん
たしかに、「2倍」と聞くとすごく怖く感じます……。
ゲノ先生
だから研究論文でも、健保さんが加入者に説明するときも、相対的な数字と絶対的な数字はセットで示すのが基本なんだよ。
ミライさん
3つめのオッズ比はどうですか?
ゲノ先生
オッズというのは「起こる確率 ÷ 起こらない確率」のこと。100人中2人が発症するなら、2÷98でオッズは約0.02。このオッズを2つのグループで比べたのがオッズ比だよ。
ミライさん
……なぜ、わざわざそんなややこしい計算をするんですか?
ゲノ先生
遺伝学の研究では、病気になった人(症例群)と、なっていない人(対照群)を集めて後から比較する方法がよく使われるんだ。この設計だと集団全体の発症率がそもそも計算できないから、相対リスクを直接は出せない。そこで代わりにオッズ比を使うんだよ。
ミライさん
なるほど、研究のやり方の都合なんですね。
ゲノ先生
そう。しかも便利なことに、まれな病気ではオッズ比と相対リスクはほぼ同じ値になる。ただし発症率が高くなるほど、オッズ比は相対リスクより1から離れた値になるんだ。リスクを上げる方向なら相対リスクより大きく、下げる方向なら相対リスクより小さく出る。だから「オッズ比3.0」を「3倍発症しやすい」と読むと、実際より強い印象になることがあるよ。
ミライさん
数字を見るときは、3つのどれなのかを確認しないといけないんですね。
ゲノ先生
もうひとつ、比較の相手も必ず確認してほしい。PRSの研究だと「上位10%と下位10%」「上位10%と真ん中の層」「上位10%と残り90%」「PRSが1標準偏差上がるごと」など、比べ方がバラバラなんだ。同じ「2倍」でも中身が違うから、別々のサービスの数字を単純に並べて比較はできないよ。
ミライさん
「◯倍」と書いてあったら、何と何を比べた数字なのかを見る、ということですね。
ゲノ先生
その通り。そして加入者の方に説明するときは、「平均より2倍です」だけで終わらせないこと。年齢などを踏まえたもとの発症率、これは診断ではないということ、そして具体的にどんな健診や生活習慣の見直しにつなげられるか。ここまでセットにして、はじめて役に立つ情報になるんだ。

まとめ

  • 1絶対リスクは確率そのもの、相対リスクはその比、オッズ比は「起こる確率÷起こらない確率」の比で、発症率が高いほど1から離れやすい
  • 2「リスク2倍」は2%が4%になるだけのこともあり、相対値だけでは実際の大きさはわからない
  • 3「◯倍」という数字を見たら、何と何を比べた値なのか(比較対象と指標)を必ず確認する

理解度チェック

ある病気の10年発症率が、Aグループで1%、Bグループで2%でした。AグループにくらべたBグループの相対リスクは?

A1%
B2倍
2% ÷ 1% = 2 なので、相対リスクは2倍です。ただし絶対リスクの差は1ポイント(1%から2%)にすぎません。「2倍」という表現だけでは実際の大きさは伝わらないことがわかります。
C50%

よくある質問

オッズ比と相対リスクは何が違いますか?
相対リスクは2つのグループの発症確率そのものの比、オッズ比は「起こる確率÷起こらない確率」であるオッズの比です。発症がまれな病気では両者は近い値になりますが、発症率が高くなるほどオッズ比は1からより離れた値になります(リスクを上げる方向なら相対リスクより大きく、下げる方向なら小さく出ます)。GWASのような症例対照研究では集団全体の発症率を計算できないため、オッズ比が用いられます。
遺伝子検査の「リスク2倍」は、2人に1人が発症するという意味ですか?
いいえ。「2倍」は比較対象に対する相対的な数字であり、発症確率が50%という意味ではありません。もとの発症率が2%であれば、2倍でも4%です。実際にどのくらいの確率なのかを知るには、絶対リスクを確認する必要があります。

参考情報

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