疾患リスク
国民病ともいわれる糖尿病。家族に糖尿病の人がいると心配になりますが、遺伝子検査で自分のリスクを客観的に知ることができます。2型糖尿病と遺伝の関係、検査結果を活かした予防法を解説します。
ゲノ先生とミライさんの対話

先生役
ゲノ先生
遺伝や検査の仕組みを、根拠ベースでやさしく解説する案内役。

質問役
ミライさん
読者の疑問や不安を代弁しながら、理解を深めていく相談役。
ミライさん
ゲノ先生、私の父が糖尿病なんですけど、私もなりやすいんでしょうか...。
ゲノ先生
家族に糖尿病の方がいると気になるよね。2型糖尿病は遺伝的な要素が比較的大きい病気で、遺伝率は研究によって幅がありますが40〜60%程度と示されることが多い。ただしこれは集団の中での違いを説明する統計量で、「あなたの発症の半分が遺伝で決まっている」という意味ではないんだ。
ミライさん
やっぱり遺伝するんですね...。
ゲノ先生
ちょっと待って。「遺伝する」と「遺伝的な影響がある」は違うんだ。1つの遺伝子で決まるわけじゃなくて、数百~数千のSNPがそれぞれ少しずつ影響している。お父さんから受け継いだSNPもあれば受け継がなかったSNPもあるから、お父さんと同じリスクとは限らないんだよ。
ミライさん
えっ、そうなんですか?親と同じ病気になるわけじゃないんですね!
ゲノ先生
遺伝子検査を受ければ、「あなた自身の」糖尿病リスクがわかる。お父さんのリスクとは別の、あなた固有のスコアが出るんだ。
ミライさん
自分専用のスコアが出るんですね。それでリスクが高いとわかったらどうすればいいんですか?
ゲノ先生
ここがポイント!糖尿病は「予防しやすい」病気の代表格なんだ。食事の改善、適度な運動、体重管理。この3つで発症リスクを大幅に下げられるというエビデンスがたくさんある。
ミライさん
どのくらい下げられるんですか?
ゲノ先生
米国の大規模臨床試験(DPP試験)では、生活習慣への介入によって2型糖尿病の発症が約58%減少したと報告されている。ただしこの試験の対象は、耐糖能異常など「糖尿病になりやすい状態」にあった方々なんだ。だから一般の方すべてや、遺伝的リスクが高いというだけの方に、そのまま58%が当てはまるわけではない。それでも、生活習慣の改善が発症リスクを下げ得ることを示した重要な研究だよ。
ミライさん
対象が限られているんですね。それでも、早めにリスクを知って対策を始める意味はありそうです。
ゲノ先生
そう。特に糖尿病は自覚症状が出にくいから、健診でHbA1cが正常でも油断できない。遺伝子検査で「将来のリスク」を知っておくことで、もっと早い段階から対策できるんだよ。
まとめ
- 12型糖尿病の遺伝率は40〜60%程度とされるが、これは集団の統計量で個人の原因割合ではない
- 2耐糖能異常など高リスクの方を対象とした試験で、生活習慣介入により発症が約58%減少した
- 3遺伝子検査で早期にリスクを把握し、健診数値が正常なうちから対策を始められる
理解度チェック
DPP試験で示された「発症リスク58%減少」について正しいものは?
A一般の人が生活習慣を改善すれば、誰でも58%減らせる
B耐糖能異常など糖尿病になりやすい状態にあった方を対象とした試験の結果である
DPP試験の対象は耐糖能異常等を有する高リスクの非糖尿病者です。生活習慣介入の有効性を示す重要な研究ですが、一般集団やPRS高値者全般にそのまま一般化できる数値ではありません。
C遺伝的リスクが高い人にのみ当てはまる
よくある質問
遺伝子検査で糖尿病リスクはどのようにわかりますか?
2型糖尿病に関連する数百~数千のSNPをPRS(ポリジェニックリスクスコア)で統合的に評価し、日本人平均と比較したリスクの高低をスコアとして算出します。
親が糖尿病なら自分もなりますか?
必ずしもなるわけではありません。糖尿病に関わるSNPは数百以上あり、親から受け継ぐパターンは人それぞれです。遺伝子検査で自分固有のリスクを確認し、生活習慣の改善で発症を予防できる可能性が十分にあります。
参考情報
LEVEL 3疾患ごとに理解する5 / 7 記事目
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