乳がん体験談

Interview

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Vol.
01

リスクを知って備えることは、命を守ることにつながる

(A.Y様・48歳)

2019年5月、46歳で両側乳がんと診断されたY.Aさん。北海道テレビのプロデューサーとして、ご自身の闘病の様子をドキュメンタリー番組にして放送しました。番組制作を決めた背景には、「乳がんについてもっと知ってもらいたい」という強い思いがあります。そんなAさんが乳がんになって気づいたことや変わったこと、まだ乳がんになっていない人に伝えたいことを伺いました。

―― Aさんは15年以上前から、乳がんに関する番組制作や啓発活動に携わっておられますが、ご自身の乳がんが見つかった時はどのように思われましたか。

会社の健康診断でエコー検査を受けた時に乳がんの兆候が見つかったのですが、母も乳がんでしたし、「これはまずいな」と思って、翌週には乳腺クリニックで再検査を受けました。
結果が出るまで2週間。私も夫も、ある程度の覚悟はできていましたが、それでもほとんど眠れませんでした。

結果は予想通りで、左は組織診で確定。右は細胞診で診断がつかなかったのですが、両側ですと遺伝性乳がんの可能性も否定できません。
両側乳がんなら両方一度に取りたいですし、全摘が前提なので、乳房再建も同時にできる別の乳腺クリニックに移りました。そこで両側乳がんと診断されました。
そのクリニックは母もお世話になっており、仕事で取材もさせてもらっていたので、先生は私の性格をよくご存知。私にどの程度の知識があるかも分かったうえで、全部話してくれました。

検査結果を見ると進行が比較的ゆっくりのがんでした。2年前のマンモグラフィーでは分からなかったのですが、おそらく何年も前からあったと思います。
だからもっと早く見つけたかったという気持ちはありますが、言っても仕方がありません。私は自分にリスクがあると知っていて、乳がん検診も受けていましたから、早く見つけられたほうだと思います。

―― 乳がんはがんのタイプや進行具合によって治療法が異なりますが、どのような治療を受けられたのですか。

がんのタイプ

がんのタイプ

私の場合は左が「ルミナールA」というホルモンの影響を強く受けるタイプのがんだと分かっていたので、手術とホルモン治療の適応になります。
別のタイプのがんでは、抗がん剤や分子標的薬を使うこともあります。浸潤性の乳がんでは、乳房を全摘しても全身にがん細胞が回っている可能性があるため、術後も治療が必要になるケースがほとんどです。

手術は当初、乳房全摘と同時再建を予定していましたが、前日になってインプラントに問題が発覚。同時再建ができなくなったと告げられ、頭が真っ白になりました。先生が「乳頭を残せるかもしれない」と言ってくださり、急遽、乳腺のみ全摘することに決めました。幸いにも乳頭と脂肪も残せたので、思っていたほどの喪失感はありません。

術後の治療は手術で採ったがんを詳しく調べてから決めるので、結果が出るまでの約1ヶ月は落ち着きません。
ただ、私は1ヶ月後には仕事に復帰するつもりだったので、様子を見るためにも術後すぐにホルモン治療を開始しました。今で丸2年ですが、ホルモン治療薬の服用と卵巣の機能を止める注射など3ヶ月に1度の検査を続けています。

―― 入院中や退院後の生活で、大変だったことを教えてください。

手術の前日に入院し、10日後に退院しました。術後は腕を上げると痛く、動かしづらいなどありましたが、翌日からごはんも食べられますし、洗濯もできます。日中は他の患者さんとずっとおしゃべりをしていました。一緒に闘う仲間がいると心強いものです。

退院後はホルモン治療のせいか、とにかく体調が整わず、暑くなったり寒くなったりの繰り返し。いわゆる更年期障害のような症状ですが、慣れるまでは辛かったです。今も脱ぎ着のしやすい服装で、飲み物を持ち歩くようにしています。

ホルモン治療は抗がん剤よりも楽だと思われる人もいますが、どうしても辛くて続けられない患者さんも少なくありません。治療を中断することで再発リスクが高くなる場合もありますし、抗がん剤がよく効くタイプで消失する方もいらっしゃいます。

多くの乳がん患者さんを取材させていただいて思うのは、がんのタイプやステージ、治療法は違っても、みんなそれぞれの状況で闘っていて、辛いのは同じだということ。治療自体の辛さもありますが、社会のがんに対するイメージに傷つくことも多いです。

18年前に取材した患者さんに「がん患者って生きづらいと思う」と言われた時、それを世の中に伝えて変えていかなれば、と思ってやってきました。でも、いざ自分ががんになってみると、本当にたくさんの壁があることに気づいて愕然としました。

入院中や退院後の生活で、大変だったことを教えてください。

―― 乳がんの手術を終えてお仕事に復帰されてから、職場での対応が変わったことや、ご自身の気持ちに変化はありましたか?

復帰してすぐは周りからすごく心配されました。ありがたいですけど、時には「もう働けないよね」と思っているのではないかと感じることもありました。
私はがんになっても従来通り働くつもりでいたので、特別な配慮は必要ないと伝えました。もちろん、がんになって仕事をセーブせざるをえない人や、自分からキャリアを降りる人もいます。でも、できる範囲を勝手に決められて、過小評価されることには納得がいきません。

一方で、時間には限りがあって、自分のためにもっと時間を残しておきたいと考えるようになりました。
がんになる前は何でも引き受けて抱え込むところがありましたが、今は仕事の優先順位を明確にして、不得意なことは無理をせず、誰かに頼むようにしています。逆に得意なことは手を挙げてやります。
後輩から「そこまで頑張らないといけないのか」と思われるより、がんでも普通に働けて、管理職にもなれることを示したいのです。そういう人が増えていけば、世の中のがんに対するイメージも変わっていくと思っています。

―― 乳がん検診の啓発活動や患者さんに向けた情報発信などをされていますが、まだ乳がんにかかったことのない人に伝えたいことはありますか。

乳がんに限らずですが、自分の身体に興味を持って、どういうリスクがあるのか知っておいたほうが良いと思います。
リスクを知っていれば検診に行きますし、病気についても調べるでしょう。最近は遺伝子検査も進化して、色々な病気のリスクを調べられるようになりました。
もしも遺伝的乳がんのリスクがあるという結果が出た場合、必ず発症するわけではないものの、やはり注意が必要となります。
知るのが怖いという方もいると思いますが、検診をこまめにして早く見つかれば、助かる可能性は高まりますし、予防的切除という選択もあり、治療法も日々進歩していますから、リスクを知って備えることは、結果的に命を守ることにつながると私は思っています。